ブランドは「脳に作る」。だから、売上はコントロールできる
ブランドは「商品」じゃない。脳に作るものだ。
ブランドは、商品やサービスそのものではない。
もっと言えば、「美味しい料理」「丁寧な接客」だけで記憶に残る時代ではない。
ブランドとは、お客さんの脳に特定の感情とともにインストールされる“印象”のこと。
つまり、ブランドは“脳に作る”ものであって、モノではない。
実際、「あの店、なんか好きなんだよね」と言われる店には、商品の枠を超えた“記憶の物語”がある。
ブランドが脳に作られるプロセス
脳の中にブランドが定着するには、次のプロセスを経る必要がある。
【ブランド定着フロー】
認知 → 意味づけ → 好意 → 儀式化 → リピート
認知 → 意味づけ → 好意 → 儀式化 → リピート
- 認知:まず存在を知ってもらう
- 意味づけ:「あの激辛の店」など、記憶にタグ付けされる
- 好意:好き、安心できる、面白いなどのポジティブ感情が宿る
- 儀式化:体験が習慣になり、リピート行動が生まれる
ここまで設計できれば、選ばれる理由が「なんとなく好きだから」になる。
この“なんとなく”が最強のマーケティング装置だ。
プレファレンス(選ばれる好意)を高める
プレファレンスとは、機能や価格を超えて「感情ベースで選ばれる力」のこと。
たとえば、同じラーメンでも「今日はあの雑炊まで行きたい気分なんだよな」と思わせるのは、明らかに機能ではなく感情。
プレファレンスを生むには、次の3つが必要不可欠。
- 独自性:ここでしか得られない、世界観や体験
- 物語:商品に込められた背景、ストーリー、意味
- 一貫性:ぶれない価値観やトーン、接客・空間の統一感
この3つが揃ったとき、人は“納得して選ぶ”のではなく、“惹かれてしまう”ようになる。
飲食店でも脳にブランドを作れる
もちろん、これは飲食店にもそのまま当てはまる。
たとえば「地獄の担担麺」では、次のように設計している。
- 地獄というテーマで強烈な印象と世界観を形成
- スープ完飲+雑炊まで食べるという“体験の儀式化”
- 背徳感 → 罪悪感 → 幸福感という感情の流れを演出
こうして、食事は単なる栄養補給ではなく記憶に残る体験になる。
脳に記憶される飲食体験こそが、飲食店にとっての“ブランド資産”である。
まとめ:ブランドは印象戦略。感情と記憶で売上を動かせ。
ブランドを脳に作れたとき、売上は偶然から必然へと変わる。
商品を磨くだけでは足りない。
脳の中に、どんなイメージ・どんな感情を残したいか?
そこから逆算して、すべてを設計すべきだ。
ブランドとは、記憶の中に作る“もう一つの店”である。